お知らせ

2023年04月06日

認知症高齢者の転倒予防について

認知症高齢者の方はそうでない方と比較すると、転倒リスクが高いことが報告されています。

療法士は認知症高齢者の転倒予防にどのように介入すれば良いのでしょうか?

今回は、認知症高齢者の転倒予防への関わりについてまとめてみました。

認知症高齢者の転倒予防は包括的な介入が重要

認知症高齢者の転倒予防で、最初に思いつくのがバランス訓練や下肢筋力訓練ではないでしょうか?

しかし、バランス訓練や下肢筋力訓練などの機能訓練だけ行っても、有意な転倒予防効果は認めなかったとの研究データもあります。

機能訓練は転倒予防に必要不可欠な要素ですが、それだけでは不十分であると報告されています。

認知症高齢者の転倒予防は包括的な介入が求められます。

下の表にある包括的なアプローチを実施し、転倒率、転倒数、骨折数が有意に減少したとの研究結果があります。

筋力やバランストレーニング
環境調整
歩行補助具の検討
服薬調節
ヒッププロテクターの使用
全職員の転倒予防に関する教育
転倒後のスタッフカンファレンス

しかし、これらの包括的介入もMMSEが19点未満の方だとあまり効果に差がなかったと報告されています。

重度認知症高齢者の転倒予防はまだまだ課題が多いことが分かります。

また、Falls Risk and Alzheimer Disease: A Patient Guide2020で転倒予防に重要な項目がまとめられています。

頻回な運動定期的な運動は筋力、バランス、協調性に好影響
夜の睡眠改善睡眠は精神機能と身体機能に影響
筋力強化筋力低下は転倒リスク↑
薬への注意血圧やバランスに影響
補完代替医療を試行ストレスを軽減し、コアマッスルとバランスの改善
歩く・話すに注意一つのことに集中することで転倒回避
環境確認必要な回収は転倒回避
必要な時に支援を要求補助具による転倒回避
精神機能の改善危険な課題遂行による転倒
急な立ち上がりに注意起立性低血圧による転倒
健康的な食生活悪い食生活は筋骨格系に悪影響
気分の変調は相談気分障害はバランスに悪影響
適切な靴の着用不適合な靴は姿勢やバランスに悪影響
社会的活動への参加社会的孤立は身体的パフォーマンスにも悪影響

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